| SRCは比較的簡単にSRWライクなSRPGを作れるソフトである。 そして、簡単であるが故に、お手軽に作ろうとすると、本当にチャチなシナリオしか作れない。 キチンとした「遊んで楽しめる」シナリオというものには、プレイをしていて、作者の丁寧な心遣いが伝わると思う。
このシナリオ、「スーパーロボット聖戦」は、本当に丁寧に作ってあると思う。
まず、ストーリー。 複数作品からなる共闘ものとなると、それぞれの作品間の人間関係の描写が難しいものになる。 どうしてもそれぞれの作品のキャラクター達は、各作品固有のエピソードでのみスポットライトが当てられるだけで、他のエピソードではその場に存在するだけのキャラクターになってしまいがちだ。 しかし、このシナリオではドモンと銀河の師弟関係などを始めとして、異なる作品間での人間関係の構築に意欲的に取り組んでいる。 それぞれの原作の内容をよく噛み砕き、納得のできる形での異なる作品間のクロスオーバーの再現の手法が非常に秀逸なのだ。 例えば、Gガンダムのドモン=カッシュというキャラクターは、既存のSRCシナリオにおいては、どこか他者を拒絶する孤高の武術家の側面ばかりが強調されていたように思えるのだが、そんな彼の、子供に対する無条件の優しさにスポットライトを当て、GEAR戦士雷童の銀河という格闘技好きのキャラクターと絡ませている。この流れによって、SRCシナリオに多く登場し、悪く言えば使い古された感のあるドモン=カッシュというキャラの新たな魅力を引きだし、さらに銀河というSRCシナリオにおいては比較的登場数の少ないキャラクターの紹介も兼ねるという二重の効果を生んでいる。 非常に見事な登場人物の使い方であると思う。
そして戦闘シーン。 戦闘シーンの難易度については、プレイする人間の好みによって左右されると思うが、私個人の、このシナリオの難易度は、甘からず辛からず、よいバランスになっていると思う。 特に好感が持てたのが、シナリオごとに、行動不能になった味方ユニットの救出イベントがあったり、避難民を乗せたトラックの護衛イベントがあったりと、単純に敵を全滅させるだけのイベントばかりではなく、変則的なイベントが随所に盛り込まれている部分である。 こういったイベントを盛り込むことによって、戦闘シーンが単なる“作業”となってしまう事を回避して、よりシナリオのストーリーを楽しむことができる。
他にも戦闘時の豊富なカットインや、ロボット図鑑、キャラ図鑑など、ユーザーフレンドリーな機能を豊富に組み込んであり、シナリオ作者様のプレイヤーにより快適に楽しんでもらおうという姿勢が非常によく見て取れる。
ストーリーはまだ途中であるが、SRCシナリオのヘビープレイヤーの人には勿論、SRCを始めたばかりの人に是非お薦めしたいシナリオである。
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